大阪市廃止を市民力で阻止した勝利
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

長崎由美子(大阪府連合代表)

11月1日大阪市を廃止し特別区とする住民投票で反対多数により大阪市は存続することが決まった。賛成675829票、反対692996票、17163票で勝利が決まった瞬間に思わず涙が溢れた。5年前に否決された住民投票が維新により、再びこのコロナ禍の下10億7千2百万円の選挙費用をかけ実施された。大阪市を廃止し市町村以下の権限しかない特別区に分割し、大阪市の財源を府に吸い上げ、カジノ、万博などの大型開発につぎ込んで行く内容をひた隠し、バラ色の大阪都構想を維新の会は、大阪府、大阪市広報を使い訴え続けた。

前回は反対の公明党は維新の会の選挙の圧勝を受けて、賛成に転じた。吉村知事のコロナ対策での人気を利用し、世論調査でも賛成が当初10％多かった。資金も潤沢にある維新は連日のように新しいビラをポスティングしテレビCMを流した。この劣勢を逆転し勝利したのはまさにオール大阪というべき市民力だった。　

　政党としては社民党も街宣車を流し、街頭宣伝や、環状線朝立ち、そして福島瑞穂党首が24日31日と来阪し大阪市廃止にストップと訴えた。31日には市民と野党の共同街宣を大阪駅で行い大きな盛り上がりとなった。他政党の共産党、自民党、そして無所属の武議員なども、大阪市廃止の問題をそれぞれのやり方で訴えた。しかし最後の大きな力はなんといっても目覚めた市民の力だった。自分が考えて何かしなければと思う市民がこんなにおられることに本当に励まされた。仕事の合間に朝夕に駅に立ちビラを配布する人、深夜まで毎日ポスティングする人、手作りのチラシを配る人、街頭でアピールしながら対話する人、隣接する堺市、豊中市、高槻市などの市民も多くの方が応援に来られた。特に最終日の投票所に朝から夕方までスタンディングに多くの市民が参加をした。長崎も投票日夜8時までスタンディングしたが、その時に語りかけてきた市民の「こんなコロナ禍で困るときになんで大金使って自分らのために選挙するんや」の怒りや「一人でもこうしてボランティアしてる人天王寺でも見たで、えらいな」の声そして「長崎先生一人やったら私も立つわ、私ら選挙権ないねん。悔しいわ」と言って「大阪市無くさんといて！」コールしてくれた朝鮮学校のオモニの思いがこの反対票に込められている。しかしこの大阪市廃止は阻止できたが賛成との差は僅差である。この維新政治がなぜ支持されるのか、競争主義と自己責任を進めることで自分たちが切られてきた30代40代がなぜその維新を支持するのか。この課題を取り組むことが社民党にとり再生していく道でもあると思う。

2020年11月